栗東坂路で万全の仕上がりをアピールしたハクサンムーン
午前9時前。静けさの漂う栗東坂路を、一昨年の覇者ハクサンムーンが気持ち良さそうに駆け上がった。最初の1Fこそ15秒6で入ったが、ラスト2Fからギアを上げてペースアップ。4F53秒7-38秒1-12秒1をマークした。
気性の難しさを考慮して、あえて他馬のいない、馬場閉門間近の時間帯が選ばれたのはいつも通り。力強く右肩上がりのラップを刻んだ栗毛の6歳馬に、西園師は「万全です。文句なし。昨年の今ごろに比べると仕上がりは雲泥の差。あとは結果を待つだけですね」と満足そうな笑みを浮かべた。
悲願のGIタイトルを手にしたい。一昨年のスプリンターズSでは“世界の”ロードカナロアに3/4馬身差の2着。今春の高松宮記念では、前年の香港スプリント覇者で、のちにシンガポールでもGIを制すエアロヴェロシティの半馬身差2着と踏ん張った。「あれだけの馬たちの2着。すごいことだけど、もう善戦マンは返上したいね」。強敵相手に好走した誇りを感じつつ、栄冠に届かなかった悔しさをにじませる。
前哨戦とはいえ、負けられない一番だ。「スプリンターズS(10月4日・中山、芝1200m)までの間隔は短い(中2週)し、ここで100%に近い仕上がりにしていく。年齢的にもラストチャンスになると思う。悔いのないように」と指揮官はねじり鉢巻き。スターホースたちを苦しめたスピードを武器に、秋初戦をきっちりとモノにしてみせる。