ペプチドバンブーで重賞初勝利を狙う富田(撮影・石湯恒介)
久々の白星の味は格別だった。先週日曜阪神8Rターキッシュパレスで今年JRA初勝利を挙げた富田暁騎手(23)=栗東・木原。昨年8月から今年4月まで、豪州で武者修行を経験。5月に国内復帰を果たしたものの、勝てない日々が続いた。
「帰ってきて、結果が出せない焦りもありました。状況は苦しかったですが、振り返るとオーストラリアの方が苦しかったので」
言葉の通じない異国の地での孤独な戦いが、自らを精神的に成長させた。「関係者にアピールするためにも、一つでも上を、と思ってやらないと」。この勝利をきっかけに、さらなる飛躍を誓う。
そんな若武者が、ペプチドバンブーとのコンビで中京記念に挑む。重賞騎乗は昨年3月のチューリップ賞(マルモネオフォース7着)以来。常に応援してくれる武英智調教師からの騎乗依頼に燃えている。
「馬乗りの基礎は、ヒデさんから教わりました。(木原厩舎の)助手をされていた時は怒られてばかりでしたが、僕を育ててくれました。ヒデさんの馬で勝ちたい思いは強いですね」。ハンデ54キロと、得意の荒れた馬場を味方に、懸命の騎乗で恩返しの大金星を目指す。(デイリースポーツ・大西修平)