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ライブコンサート&メジロディザイヤー、明和牧場でのうれしい出会い/動画

2015年07月28日(火) 18:01

第二のストーリー

▲2010年の京都金杯を勝ったライブコンサート


競走馬時代のオーナーさんの愛情を受けて


 凱旋門賞馬サンサン、メイワキミコ、シーバードパーク、ウインザーノット、そして怪物ハイセイコーなど、明和牧場ゆかりの馬たちの思い出話に耳を傾け、サンサンの血を引くサンゼウス(牡27)を前に懐かしさに浸っていると、隣の放牧地の馬が柵に近寄ってきた。明和牧場の浅川明彦さんに何げなく馬名を尋ねると「ライブコンサート(セン11)ですよ」という答えが返ってきた。

 ライブコンサートといえば、京都金杯の勝ち馬だ。ポリポリとおいしそうに草を食み続けるライブコンサートの姿を眺めながら、思いがけない出会いに感謝した。

第二のストーリー

▲京都金杯優勝時、鞍上は岩田康誠騎手


 ライブコンサートは1996年のジャパンCに優勝したシングスピールを父に持ち、2004年4月8日にアイルランドで生まれた外国産馬だ。栗東の白井寿昭厩舎から2007年の1月にデビューして、6戦目で武豊騎手の手綱で初勝利を挙げている。3歳の夏以降、長期休養や去勢手術などを挟み、4歳後半からはコンスタントにレースに出走している。2009年2月にオープン入りを果たし、2010年1月には岩田康誠騎手を背に京都金杯で重賞初勝利を成し遂げている。

 その後もライブコンサートは走り続け、明け9歳の1月の京都金杯の16着を最後に競走馬登録を抹消された。当時のニュース記事を読み返すと「今後は、JRA栗東トレーニングセンターで乗馬となる予定」となっている。引退からおよそ2年。現在は栗東から北海道の新冠町へと移動し、ここ明和牧場で余生を過ごしていた。そのゆったりした様子からは、この明和牧場がライブコンサートの居場所なのだと感じられた。

第二のストーリー

「この馬は、競走馬時代のオーナーさんからの預託なんです。栗東で1度乗馬になったのですけど、骨折をしてしまい乗馬としては難しいということで、もう1度オーナーさんが引き取ってウチに預託をして下さいました。去勢される前は気性が激しかったようなことを聞きましたけど、大人しいですよ。甘ったれでね(笑)」

 競走馬時代の馬主さんが再び引き取り、余生の面倒を見る。馬主さんのライブコンサートへの深い愛情を感じて、心が温かくなった。


 サンゼウスの奥の放牧地にいる馬も気になった。浅川さんに問うと「メジロディザイヤー(牡21)です。ここに来て10年くらいになるかな。この馬も現在のオーナーさんからの預託馬です」、またしても思いがけない馬名が飛びだした。

 メジロディザイヤーといえば、母が牝馬3冠のメジロラモーヌ、そして父がサンデーサイレンスということで、活躍が期待された馬だった。しかしその成績は未勝利戦と障害未勝利戦の2勝にとどまり、決して期待通りとはいかなかった。

第二のストーリー

▲父がサンデーサイレンス、母がメジロラモーヌという良血馬


 引退後は良血を買われて種牡馬入りしていたが、2006年8月に供用が停止されて用途変更となっていた。そのメジロディザイヤーが、ここ明和牧場にいる。ライブコンサート、そしてメジロディザイヤーと、人々の愛情を受けて命を繋いできた馬がいることがわかって、とても嬉しい取材となった。北の大地に降り注ぐ太陽の下、両親の青鹿毛を受け継いだ漆黒の馬体が輝いていた。


今も昔も馬を大切にする牧場


「現在の明和牧場の形になった最初から、養老馬はいます。元々の明和牧場にいたスタビライザー(1994年帝王賞優勝)とウインザーノット、サンゼウスで養老は始めました。・・・

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佐々木祥恵

北海道旭川市出身。少女マンガ「ロリィの青春」で乗馬に憧れ、テンポイント骨折のニュースを偶然目にして競馬の世界に引き込まれる。大学卒業後、流転の末に1998年優駿エッセイ賞で次席に入賞。これを機にライター業に転身。以来スポーツ紙、競馬雑誌、クラブ法人会報誌等で執筆。netkeiba.comでは、美浦トレセンニュース等を担当。念願叶って以前から関心があった引退馬の余生について、当コラムで連載中。

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