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HKJCの新調教基地にして、新しい競馬の舞台 『チョンファ競馬場(從化馬場)』見学レポート

2018年12月16日(日) 18:01

海外競馬通信

▲チョンファ競馬場の第1ゲート。中国と香港の国旗、そしてHKJCの旗が掲揚されている


(取材・文=須田鷹雄)

 香港ジョッキークラブが中国本土にトレーニングセンターを作った、というニュースを目にした方は多いことだろう。今回現地で見学・取材する機会があったので、その様子と筆者の感想をお伝えしたい。

 今年の8月28日に正式オープンしたこの施設は、名称を「從化馬場」という。計画時にはトレーニングセンターと呼ばれていたが、最終的には「馬場」=競馬場、の呼称となった。横文字ではConghaなのでコンファと読みそうだが、実際には「チョンファ」と発音される。

 チョンファは広州市の中心部から北東約100kmにある町で、2010年にはアジア大会の馬術競技が行われた。温泉などのあるリゾート地として知られているようである。香港からは車で片道4〜5時間かかる。

 この從化馬場(以下チョンファ)はどのような施設なのか。まず第一の役割は沙田競馬場に対するバックアップ基地、外厩のような機能である。ルール上、レースの2日前までにチョンファ→沙田と移動すれば、馬はレースに出走できる。現状ではチョンファで追い切る厩舎は少数派(沙田に早めに移動して通常の調教を行う厩舎のほうが多い)のようだが、将来は増える可能性がある。

 ただこの体制を作るのも容易なものではなかった。防疫上の体制が整っていない中国本土から香港へ馬を出入りさせることは、香港競馬の清浄性を低減させることになる。この点を解決するために、香港ジョッキークラブ(以下HKJC)と広東省政府は、香港〜チョンファの領域を馬の疾病が無い地域(EDFZ)とすることを目指してきた。

 その取り組みで最も分かりやすいのはチョンファの施設デザインで、厩舎地区に入るまでには3つのゲートを通る必要があり、最後のゲートから厩舎地区に入る際は外来者の登録や持ち込み所持品制限などをクリアしなくてはならない。

海外競馬通信

▲厩舎地区など最も厳しいバイオセキュリティゾーンに入るための第3ゲート


海外競馬通信

▲馬運車を含む車両はここで洗浄されてからバイオセキュリティゾーンに入る


 車両の消毒もあり、馬運車については香港〜チョンファ輸送のため専用に設計されたものが使われている。さらに施設は外部から動物が侵入することを防ぐため、地上部分には上端に電流が流れる柵がめぐらされ、その基礎は地中6メートルまで築かれている。

 これにより香港と他国が国際交流のために結んできた二国間協定は基本的に維持されているが、検疫問題に厳しいオーストラリア政府は新しい体制を認めず、現状香港→オーストラリアの馬輸送は事実上できなくなっている(第三国での着地検疫を経る必要がある)。

 香港側はその解決を模索しているが、オーストラリアの競馬関係者を同意させることはともかく、政府を納得させることは容易でない。それを解決するためには、ハードだけでなくソフトも含めた、厳格な防疫体制の維持が必要だろう。・・・

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