2005年に無敗でダービーを制したディープインパクト。それから7年後の2012年、ディープブリランテが産駒として初のダービー制覇。計5頭ものダービー馬を世に輩出しました。種牡馬としてのディープインパクトの功績を、産駒でダービーを制した矢作芳人調教師、佐々木晶三調教師、友道康夫調教師が語ります。
(取材・文=大恵陽子)
佐々木晶三調教師「キズナもディープに似て性格がいいんです」
▲キズナ(2013年ダービー)を管理 (撮影:大恵陽子)
現役時代から管理するインティライミで戦ってきて、すごさは身をもって感じていました。「こんな馬、見たことない!」って走り方をしていました。日本ダービーではディープインパクトに勝てる気が微塵もしなくて、緊張はしませんでした。
直線で内からインティライミが抜け出した時にすぐに外を見るとやっぱりディープインパクトが追い込んできて、「すごい」って笑うしかありませんでした。悔しいという次元ではなかったですね。
「子どもをやりたいな」とずっと思っていました。キズナは体の形はそんなに似ていませんでしたが、オーラをすごく放っていてそういうところは似ていました。
キズナで挑んだ日本ダービーは負ける気がしませんでした。故障させてはいけないという責任感はありましたが、緊張せず楽しみばかりでした。
▲父と同じ武豊騎手を背にダービーを勝利 (撮影:下野雄規)
担当していた田重田厩務員もみんながワクワクしていましたね。競馬っぷりもディープインパクトに似ていて、プラス力強さがありました。ディープインパクトはヨーイドンでバンッと弾けていましたが、キズナは速い脚を力強くずーっと維持して、だんだん速くなっていくって感じでした。追い込みは似ているけど、少し異なったタイプではありましたね。
キズナも種牡馬として出世してくれると思います。キズナもディープインパクトに似て性格がいいんです。普段は元気いっぱいなんですが、競馬になるにつれて大人しくなり、無駄なことは一切しません。ゲートの直前でも大人しくなると武豊騎手の話でしたから、それだけレースに集中しているんでしょうね。
そういうところは産駒が受け継いでくれると思います。今は短い距離で走っていますが、本来はマイル以上の馬だと思うので、秋以降が楽しみです。
友道康夫調教師「ヴィルシーナの勝負根性はまさにディープ譲り」
▲マカヒキ(2016年ダービー)、ワグネリアン(2018年ダービー)、ヴィルシーナ(2013、14年ヴィクトリアM)、ヴィブロス(2016年秋華賞、2017年ドバイターフ)を管理 (撮影:大恵陽子)
マカヒキはディープインパクトより体つきが2回りほど大きくて見た感じは似ていませんが、走るフォームやレース内容は似ていました。日本ダービーでは同じディープインパクト産駒のサトノダイヤモンドとの1、2着でしたね。・・・